日本企業初、日立の提案活動専門部隊が「Bid and Proposal
Team of the Year 2024」 でファイナリストとしてノミネート
世界で最も活躍した企業、組織を表彰するAPMP Bid & Proposal Team of the Year に、株式会社日立製作所がファイナリストに選ばれました。
このアワードは、プロポーザルマネジメントや入札・提案プロセスにおいて卓越したパフォーマンスを発揮した組織を表彰するものです。2024年度は、グローバルI T、コンサルティング企業と並び同社がファイナリストに選出されました。日本企業としては初めての快挙です。(同社のニュースリリースはこちら)
評価の対象となったのは、日立製作所のCPC(Creative Proposal Center)の取り組みです。
APMPの推奨する「プロポーザルマネジメント」手法を取り入れ、社内の提案プロセスの標準化を図り、同社の受注や生産性向上に大きく寄与されたことが評価されました。また、営業やS
Eの意識改革を行い、戦略策定の段階から提案活動をリードする新たな取り組みがどう社内から評価されていること、また、APMP日本支部の活動を通じて、自らの活動成果を会員にシェアし、会員の意識や自信を高めることで、日本におけるプロポーザルマネジメントの発展に寄与された点も、見逃せない評価ポイントであったと考えられます。
プロポーザルマネジメントのビジネスカルチャーの無い日本においては、プロポーザル、提案支援組織というと、「提案書を綺麗に作ってくれる人」「誰かの指示で補佐的な仕事をする人」「勝てるプレゼンを作ってくれる人」とイメージされることが多いのが現状です。しかし、その先入観は改めるべきです。確かにその機能も含まれますが、それだけではありません。
提案プロセスで最大に成果を発揮させるためのマネジメントを担う専門的機能を果たす組織なのです。この機能により、提案活動にかかる労力を最大限に受注に繋げ勝率を向上させ、生産性を高めることができ、会社全体を提案組織に変革を図ることができます。専門職が配置される他国では受注に貢献する存在としてリスペクトされ活躍しています。
残念ながら、日本企業においては、プロポーザルマネジメントの概念やこうした専門人材がいないことで、次のような問題が常態化し、価値創造につながる提案が生み出しにくい現状があるように考えます。
顧客、競合、自社理解における過信や先入観
顧客の背景にある課題やビジネス目標への理解が不足しているにも関わらず、そのことに気づかないまま、ポイントを外した解決策を検討や提案書作成に労力が注がれ、失注して初めてそのことに気づく。
社内での情報共有ができていない
顧客の課題や戦略について、提案に関与する社内のメンバーでの情報共有ができておらず、営業活動で知り得た顧客の課題理解が、提案書に正しく反映されていない。もしくは、それ以前に顧客との相互理解ができていない。
戦略不在の提案活動で労力が無駄に
そもそも戦略の立て方がわからない。立てたつもりでいる。
受注見込みの不確実さ
自己認識、顧客認識が誤っているため、受注予測の正確性に欠く。
こうした問題に対して、第三者の立場からチェック、正しい方向へ社内のリソースを最大限活用するようリードするのが、プロポーザルマネジメントの役割です。提案期間全体を俯瞰し、各フェーズにおいての必要なアクションを明確にした上で、社内を横断的に巻き込み、全社一丸となり受注に向け指導的な立場を発揮します。
「顧客認識」「顧客の自社に対する認識・評価」「戦略検討」「提案書作成」全てにおいて、客観的にチェックし、「受注」という目標へ適切な方法で導いてくれるプロポーザル専門の組織があることで、組織の生産性や提案勝率の向上に大きく寄与します。
そして、この第三者機関の存在は、正しい提案プロセスを継続し習慣化させていくだけでなく、自社独自の‟勝つためのノウハウ”ベストプラクティスの蓄積にもつながり、組織的な提案力を高めながら、組織・会社全体を強くしていくことができるのです。
日立製作所のCPCは会社が一丸となって顧客のビジネスを正しく理解し、顧客とともに解決策、イノベーションを、スピーディーに生み出せる企業に変革を図ることができるインフラを築きあげられました。グローバル化を見据え、APMPの手法を取り入れるという素晴らしい決断をされました。プロポーザルマネジメントはビジネスにおける世界共通言語であり、教育・浸透を最短距離、最短時間で実現できるからです。
プロポーザルマネジメントのビジネスカルチャーのない日本において、この文化を会社に価値を理解させ定着させるのは至難の業であり、CPCの取り組みは、世界3社のファイナリストとなるべく貢献であると考えます。
大手企業でありながら、新たな方法論に謙虚に耳を傾け、即座に実践、定着をはかられていることや、経営陣も賛同し推進を後押しする取り組みに心より敬意を表します。今後も、日本における社会イノベーションの加速に向け、この分野からも発信をしていただき、リードしていただくことを願います。