· 

研修採用者インタビュー・トレンドマイクロ株式会社

愛のある実践的なプロポーザルマネジメント研修が『提案のシフトレフト』に向けた礎を築いてくれました。


SE部門の提案力強化に向けて継続的にプロポーザルマネジメント研修をご依頼いただいているトレンドマイクロ株式会社様に今回はインタビューさせていただきました。

―― これまでのご経歴を教えてください。

2007年にトレンドマイクロ株式会社に新卒入社し、製品担当・ハイタッチ担当・パートナー担当プリセールスエンジニア、ビジネスデベロップメントを歴任後、2015年にユーザ企業へ出向し事業会社のセキュリティ担当を経験。2018年より現在の組織を担当しております。

 

――現在のお仕事内容を教えてください。

プリセールスエンジニア、テクニカルアカウントマネージャーのマネジメントを担当しております。提案活動においては、メンバーのアカウントプラン・提案書などのレビューを日ごろ実施しております。

―― 日本プロポーザルマネジメント協会(以下、JPMA)を知ったきっかけ・現在ご依頼いただいる内容を教えてください。

2017年頃かつて式町さんの同僚だった弊社社員が中心となり社内で開催された、式町さん講師によるプロポーザルマネジメント研修を参加したのがきっかけでした。この開催後、複数の部署でこの研修が採用され、継続されていたのですが、2020年前後から、これまで以上にプロポーザルマネジメント研修への期待が高まる、ある変化がありました。それは、経営層のメッセージがこれまでの「プロダクト」主義から「ビジネス」「サービス」領域へと変化したことです。圧倒的に強い製品力を背景に、これまでは製品を知っていればよかった提案から、相手の悩みをともに考え、経営層に説明できるスキルが、より求められるようになりました。当時のプリセールスは、製品の機能を説明することが提案であるという認識がありました。しかし、モノ売りからコト売りへの組織変革、メンバーのマインドチェンジが必要となったのです。

そこで、「提案のシフトレフト」※1 へのチャレンジが始まりました。シフトレフトとは、ソフトウエア開発において、本来下流に実施される品質やセキュリティチェックを開発工程の早期から行う手法で、早期に脆弱性を発見し品質を高め、開発効率を高め、リリースの遅延を防ぐことを目指します。この考え方を提案活動にも当てはめることで、より顧客の課題解決につながる提案を効率よく生み出していくことを「提案のシフトレフト」と称し、意識転換を図るプロポーザルマネジメントの研修をカスタマイズしてプリセールス内に展開しました。

営業・提案プロセスを時系列で見たときに、顧客理解、戦略策定、提案書作成、プレゼンテーションなどと整理できます。これまでは向かって右側、下流に時間や労力が注がれがちであったのですが、向かって左側、つまり上流からお客様の課題を理解し、信頼関係を築きお客様と共に課題を理解し、解決する提案活動へのシフトさせることを目指しました。

※1 APMP Japan Festa 9th Anniversaryにて、提案のシフトレフトについて辻様にご講演いただきました。

当時私もPOCの一環でこのカスタマイズされたプロポーザルマネジメント研修を受講しました。その際に我々の実案件に対する戦略に対して、式町さんから第三者的にご指摘をいただいたのですが、いろんな意味で衝撃を受けました。プロポーザルマネジメントの重要性を改めて認識し、メンバーの研修として本格展開していくことになりました。現在、研修の次のステップとして、APMP Foundation 認定対策トレーニングをプリセールスエンジニアに推奨しております。


――JPMAにご依頼いただいた理由、決め手を教えてください。

一番は式町さんに対する安心感・信頼感です。笑

提案に関連する研修はこれまでも本当にピンからキリまでありました。いわゆる決まった研修プログラムをこなすだけ、といった研修も多いです。JPMAの研修は、弊社のことを親身に考え、研修プログラムを弊社なりに検討いただき、かつ、時には鋭いツッコミ(愛あるご指摘)までいただけます。なかなか「初めまして」の方にツッコミをいれるのは難しいと思いますが、提案のプロフェッショナルとしてしっかりとしたご指摘をいただけるのは嬉しかったことを記憶しております。

次に、実践向きであるということです。世界標準の知識体系であるプロポーザルマネジメントを学べる研修は他には絶対にないです。お客様の検討フェーズに対して提案側がどんな狙いをもって、どんなアクションをしていくべきか、それをしっかりと教えてくれるだけではなく、実践形式でのトレーニングもあったので、現場で確実に活かせると考えました。


――JPMAの提供サービスで得られているメリット、ベネフィットは何ですか?

ベネフィットとしては、圧倒的に提案の質の向上、強いては案件の勝率が総じて上がってきていると感じています。資格を取得することが目的ではなく、資格を取得するプロセスが非常に学びになると考えております。まずは弊社内製のプロポーザル研修を受講の上、認定資格試験の研修を受講しています。1~2週間おきに全3回の研修となるため、BOKの予習・復習を含め体系的にプロポーザルマネジメントを学ぶことができます。このプロセスを経て、実践に活かすことができています。


――プロポーザルマネジメントを学んだことで、実務で取り入れていることはございますか?実務に取り入れることでどのような成果がございましたか?

特にFAB+PD ※1は個々人が日々の提案活動で強く意識することができるようになっています。
※1 FAB+PDとは、APMPが提唱している説得技法のひとつで、Feature、Advantage、Benefit、Proofpoint、Discriminatorの頭文字をとったフレームワークです。

私を含め多くのプリセールスエンジニアは、お客様への提案の際に、Feature(機能・特徴) と Advantage(一般的な役立ち方)の話ばかりをしていました。それが提案だと思い込んでいました。これは提案ではなく単なる製品紹介だと気づかせてくれたのが、プロポーザルマネジメントの最大の学びです。今では、研修や認定資格試験のプロセスを経て多くのプリセールスエンジニアが提案とは何なのかを真剣に考えることで、学びを実践に変え、確実に良い提案ができるようになり、受注・売上につながってきています。

加えて、現在ではプロポーザルマネジメントのナレッジを活かしてアカウントプランのフォーマットを統一し、営業とSEが共通の情報をベースに戦略を議論できるようになっていきています。

――プロポーザルマネジメントの学びを今後どのように活かしていきたいですか?

現在はSE中心にプロポーザルマネジメントを展開していますが、今後営業に向けても本研修を展開していくことを検討していきたいです。営業とSE間で共通言語化を図り、更なる組織提案力強化を図っていきたいと考えております。

また、まだ構想中ではあるのですが、将来的にプロポーザルセンターを作りたいと考えております。少しずつ提案の型ができ、質があがってきていることは間違いないのですが、まだまだ未熟な点が多いです。コト売りを意識すべきと頭でわかっていても、プロダクトの戦略的にモノ売りに寄りすぎてしまう時もあります。また、提案の質が元に戻ってしまうケースもままあり、定期的に第三者が提案の質を担保できるような機能を設けることでもっと勝率が高めることができると考えています。JPMAの皆様やAPMPの会員の皆様のご意見を参考にしながら、弊社でもプロポーザルマネジメントが維持・発展できる組織や機能を作りたいと考えています。


――JPMA・プロポーザルマネジメントに対する評価、今後のご期待をお聞かせください。 

式町さんがJPMAやAPMP日本支部を創ったときの想い、9年前には日本国内に存在しなかったプロポーザルマネジメントをもっともっと日本に広めていってほしいと思います。日本で真の提案ができる企業・組織がこんなにもあるんだ!!そういう世界を創っていっていただきたいと思います。もちろん私も微力ながら貢献させていただきたいな、と思っています。


――最後にJPMAのサービスを検討しているお客様へのメッセージをお願いします。

少し乱暴な表現かもしれませんが、営利企業である以上、売上をあげなければならないと考えています。そこには必ず大なり小なり提案というものが求められますし、間違いなく重要な要素です。JPMAの体系だったプロポーザルマネジメントは、必ず企業を成功に導いてくれますが、定着するまでには時間はかかります。ただし、時間をかけた分、必ず成果として返ってきます。JPMAの皆さんと一緒に取り組むと、その効果をすぐに実感できると思います。


――本日は貴重なお話をありがとうございました。今日本を代表する提案力を誇る組織作りに今後も伴走させてください。